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​信じる力

お医者様も神様ではない。誰の言う事も信じなくていい。自分の心と気持ちだけを信じればいいのだ。この時ばかりはこの言葉が大正解だったと思う。毎日のリハビリ甲斐あってか、気づけばいつの日か突然痛みが消えていた。

​バイオリンが弾けず、リハビリに専念した2年間、私は身体だけではなく心もリセットする事ができた。私が一番苦しんだイップスにはこの充電期間は非常に重要だった。悪い記憶をできるだけ切り離す為のリハビリ期間だったのだと私は自分に言い聞かせた。そもそも、肘を壊すような無理な弾き方をしていた事を反省し、私は自分の技術を見直し、基礎から徹底的にやり直した。先ずあご当てを変え、肩当てを装着して弾くようにした。そして一つの音を弾くのに何十パターンという指の動かし方を考えながらベストの弾き方を探し求め練習を行った。そこからの積み重ねで、私は逃げず怪我やイップスと向き合う事を選択した。

その結果、2年後私はバイオリンを使うときに必要な筋肉と考え方の大部分が理解できるようになり、演奏クオリティが以前よりもぐっと上がったと自負している。

私はこの経験を「怪我の功名」とポジティブに捉えるようにした。勿論、悔しい気持ちがないのは嘘になる。音楽家にとって大切な期間を精神や怪我で左右された時間はあまりにも勿体ない。しかし、この経験は何にも変えられない貴重な出来事だった。

月本真愛 午後の音楽会
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無事回復し、私は幸運にも日本でも力強い味方や多くの音楽家の方々とも巡り合わせて頂き、演奏活動を再開させる事ができた。苦しいときに、私に手を差しのばしてくださった方々には今でも本当に深く深く感謝している。

その後怪我も克服し、新たな取り組みで自信を取り戻した私は海外での活動も再開させた。

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